ひとつひとつの小さな物語 - 日野沙織 -

のびやかな筆づかいで描かれた愛らしい動物たち。まるで器の中で自由に遊び、語りかけているかのようです。使うたびにほっと心が和み、つい手に取ってしまう。そんな温もりを持つ器を栃木県益子町で制作されています。

日野沙織さんのうつわ紹介

日野さんのうつわは、動物たちが楽しげに暮らす世界が広がっています。小さなお花を大切に抱えたり、キャンドルの灯の中の会話が聞こえてきそうだったりまるで童話のワンシーンを切り取ったかのよう。ひとつひとつが、手にする人の想像をふくらませ、静かに物語を紡いでいきます。

日野沙織さんのうつわ

「小さい頃、家には
200冊以上の図鑑や絵本があって、夢中になってページをめくっていました。物語の世界に引き込まれるのが楽しくて。その時の記憶が、今の作風に影響しているのだと思います。」

幼いころの楽しい読書体験が、制作の原点にもなっているという日野さん。最近では、美術館や図書館で出会う古い資料や図鑑からもインスピレーションを受けているそうです。

陶芸と出会ったのは大学の陶芸部。道具や機械を使うのは苦手だったけれど、土に直接触れ、手の感覚だけで形を作り出せる陶芸の魅力に惹かれたと言います。そうして生まれる器は、手にしっくりなじむ心地よさがあり暮らしに自然に溶け込んでいきます。

日野沙織アリスシリーズ

「使い人の気持ちが和らぎ、自然と笑顔になるような器を作りたいです。なので、動物たちの表情は、どこか穏やかで優しくなるようにと心がけて描かれています。」


のんびりリラックスモードの猫ちゃん。思わず笑みがこぼれてしまいます。

日野沙織さんのマグ


日野さんの生み出すうつわは、愛らしいだけでなく、使いやすさも魅力でもあります。縁を薄く仕上げたり、ほどよい厚みを持たせたりすることで、手に取ったときの感触も大切に。マグの持ち手もすっと持ち上げやすくなど、細かな部分まで試行錯誤を重ねて制作されています。また貫入が少なく少しつるっとした釉薬も施されているので、染みこみにくく、お手入れのしやすさも嬉しいポイントです。

日々の暮らしの中で、ふと目をやると、そっと微笑みかけてくれる愛らしい器たち。手に取るたびにぬくもりが伝わり、使うほどに愛着が増していく。日野さんの器は、まるで優しい記憶を紡ぐように、暮らしの景色に静かに寄り添い、やがて大切な相棒のように、日々をともに楽しむ存在になっていくことでしょう。

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日野沙織


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