静寂の中に満ちる美 - 鈴木まどか -

どこか静謐でありながら、詩的な優美さを感じさせる鈴木まどかさんのうつわ。和の伝統を大切にしつつも、そこに西洋クラシックな趣を忍ばせた作品は、まるで時間を超えて佇むかのような美しさを宿しています。

「盛り付けた時に、料理を引き立てるのはもちろん、土の持つ緊張感や柔らかさを残したい。そんなうつわを自分の手から生み出していけたらと思っています。」

そう語る鈴木さんの作品は、ふんわりと儚げな表情の中に、確かな造形の魅力が感じられます。淡くぼんやりとした呉須の絵付けは、幻想的な世界へと誘い、楚々とした佇まいが食卓を優しく彩ってくれそうです。

鈴木さんは京都で陶芸を学んだのち、唐津の窯元で8年間修行を積みました。独立を決意されたのは、ちょうど私たちが初めてお会いした頃でした。工房を探されていたその後、現在は滋賀県で窯を構え、日々作陶に励んでいます。

「ろくろや型打ちを通じて、造形の面白さと技術を学べたのは、岡晋吾先生のもとで修行したおかげだと思っています。独立後も“自分らしい器とは何か”を探り続けていますが、釉薬の流れの中にふと渓流の色を感じたり、無意識のうちに自分の中に蓄積された“なんとなく好き”が作品として紡がれている気がします。」

絵柄が立体的に浮かび上がるよう、まず彫ってから絵付けを施し、土には鉄分の多いものをブレンドすることで、存在感のある風合いを生み出しています。

日々の積み重ねの中で、自然の美しさや自身の感覚を器へと映し出す鈴木さん。そのうつわには、静かに佇みながらも、見る人の心をふっと惹きつける、そんな魅力があります。

昔から多くの焼き物が生まれ、今もなお、たくさんの作家さんがうつわを作り続けています。そんな中で、私のうつわを手に取ってくださる方がいることに、改めて深い感慨を覚えます。これからも、誰かの手にそっと馴染み、日々の暮らしに寄り添うようなうつわを作り続けていきたいと思います。」

私が初めて鈴木さんのうつわに触れたとき、その静かで凛とした佇まいに心を奪われました。土の持つ表情を大切にしながらも、どこか詩的な優美さを感じさせる作品は、まさに鈴木さんならではのもの。これからも、鈴木さんの手から生み出されるうつわが、多くの人の暮らしに寄り添い、心を満たしていくことを楽しみにしています。

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