手に取った瞬間から、心がほころぶようなうつわ。佐藤牧子さんの作品には、そんな優しさと温もりが伝わってきます。当店で初めてのお取り扱いとなる佐藤さんにお話をうかがいました。

「美術大学を受験する際に、立体を扱う学科に行きたいとは思っていたのですが、最終的に陶芸を選んだ理由は本当に「何となく」でした。」と佐藤さん。
陶芸はただ形をつくるだけでなく、粘土と釉薬が出会い、炎によって完成へと導かれるもの。「待つ」時間のなかで思いを巡らせ、試行錯誤を繰り返しながら、最善の形を探し続ける。そんなゆっくりとした過程が、ご自身ののんびりとした性格に合っていると感じたそうです。
使う人の暮らしにそっと寄り添い、手に取るたびにちょっと幸せな気持ちになれるようなうつわを届けたい...。そんな想いを大切に、茨城県土浦市の工房で日々の作陶されています。

作風の根底には、佐藤さんが日々目にする風景が息づいています。森や山の木々のシルエット、建物に落ちる影のかたち。そこに流れる静けさや、自然のなかのさりげない美しさが、模様やフォルムにそっと表現されています。
やわらかな風合いを生み出す釉薬も、何度も調合を重ね、ようやくたどり着いたもの。マスキングテープを使って施される繊細な柄、重なり合う釉薬が生み出す、ほどよくマットでやさしくにじむような質感。そのひとつひとつが、日常にそっと溶け込みながら、使う人の暮らしを彩ります。

棚から取り出すとき、食卓に並べるとき、そして使ってる時も、使った後までも。ふと心がほころぶような、そんなうつわたち。あたたかなその温もりあふれる作品は、日々のひとときをほっこりと楽しませてくれるものばかりです。
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