触れて心を通わせて -堀江遼子-

一目見て気になるあの子。いつかどっかで一緒に遊んだかな?

まるで昔から存在していたかのような暖かさ。そして少し不思議な存在感。ずっと一緒にいたいな〜と思わせる愛らしさ。そんな有逸無二のponpocoを山形で制作されている堀江さんに、誕生秘話を尋ねてみました。

「学生時代、友達のために石粉粘土で作った小さなキノコがだんだんカタチを変え、どこかの誰かの暮らしの一角を棲み家にし始めた感じです。」と教えてくれました。

まさか!ponpocoの始まりはキノコだったとは!赤ちゃんキノコがだんだんと様を変え、ponpocoになっていく過程を想像するだけで、なんだか楽しくなってきてしまいます。ponpocoという名前もいろいろなものに変身できるぽんぽこたぬきから拝借されたそう。

「角が取れて丸くなった小石にとても惹かれます。時間の流れを感じとれるもの、そんな感覚を作品にも落とし込めたらと、カタチにしています。」

使うためだけのうつわではなく「触れて心を通わすことのできる」という大きな意味での「うつわ」を作りたい。アートピースとしても、日常使いとしても楽しめて、まるで一緒に暮らしているような気持ちで、愛でてもらえるようなものができたらとても嬉しいと堀江さんはおっしゃいます。


目の表情や 指先の仕草から 手で触った感覚も、全てが愛おしい


人差し指と親指で米粒のように小さいパーツを作り、指先の感覚を集中させ接着。ponpocoの人格がはっきりと現れるので、楽しい時間でもあるそうです。特に下顎が好きなパーツで、顔を制作するときは最も集中して作業しています。顔以外の部分でも、触れている時にしっとりと馴染む形と質感にするため、手捻りで形成後、削り出しにも時間をかけ丁寧に。



釉薬は何種類かを重ね掛けして複雑な表情や風合いがでるよう工夫されています。土は信楽の白土と瀬戸の磁土を使い半磁土に調整。土のあたたかさと磁器土の滑らかさが心地よく感じられます。


表現するもので身近にあり、しっくりときた素材が粘土でした


「成形、乾燥、施釉、焼成と工程が明確に分かれていて、乾燥や焼成の間、手出しできない時間がある陶芸は、ゴールを自分で決めるのが苦手な私にはちょうどよかったんです。」

そう陶芸の魅力を教えてくださいました。お会いした際のこちらの質問にも丁寧に言葉を紡ぐ堀江さん。またponpocoへの愛おしさが感じられ、私の心もポカポカ温かくなりました。たくさんの手間と愛情をかけてつくられるponpocoたち。これからもどんなponpocoが生み出されるのか、今からとっても楽しみです。

 

堀江遼子さんの取り扱い作品は こちら

 

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