愛知県常滑の作家 加賀美円(かがみつぶら)さんの作品の取り扱いをさせていただくことになりました。制作のことなどいろいろとお話を伺いました。
神奈川県藤沢市出身の加賀美さんは、小さなころから絵を描いたり紙粘土でつくったりするのが好きだったこともあり美術高校に進学。いろいろな創作活動を学ぶ中、立体を作ることが得意だったのもあり陶芸を始めます。
「高校の工芸部だったんですが、ろくろ10台、窯も4台あったりして結構活発に制作していました。週2回は窯で焼いてたので楽しかったですね。陶芸は触れながら何かができていく事が自分に向いていたんだと思います
その後女子美術大学陶コースに進学し卒業後は茨木笠間の製陶所で4年間勤務。常滑の学校で更に学ばれた後、2018年に独立されます。博物館や本で影響を受けたベトナムの安南手や沖縄や九州の民芸などからもインスパイアされた独自の世界観の作品をつくられている円さん。実は店主が陶器好きにきっかけとなったのはベトナムの安南手だったこともあり、加賀美さんの作品を初めて拝見した時からググっとくるものがありました。どこかはかなげで日本的な美しさも感じる魅力に引き込まれてしまいます。
加賀美さんは、制作の時の気持ちをそのまま表現するということを意識され大切にされているそうです。
「その時の感情とかをのせて下書きなしで絵柄を描いています。焼き方も時々で変えているので基本一品ものに近いです。」
同じ種類の作品でも、焼き方を*還元焼成にしたり、**酸化焼成にしたりとしているので、青っぽい表情や黄色みかかったものなど、作品により異なった豊かな表情を楽しむことができます。
*還元焼成 = 焼き物を焼く際に酸素を制限して焼成する方法
** 酸化焼成 = 焼き物を焼く際に完全燃焼するために十分な酸素がある状態で焼成する方法
また、灰の釉薬を使っているのでより窯の中の変化が強くなり幻想的な雰囲気を醸し出しています。
絵付けは線を掘って筆で描く象嵌技法。流れやすい釉薬をあえて使っているので焼いたときににじみや流れがでて、神秘的でいて生き生きとした表情をみせてくれます。灰の釉薬を筆やスポンジでつけていることから線が残ったり、流れた後になったりと手仕事の跡が残り、まるでアンティークのように味わい深い風合いが感じられます。
窯の中の状態でマットに近い表面やつるっとした艶のあるものになるものなど。どちらもとっても素敵です!
フリーハンドであえて変化の出る焼き方や釉薬を使うことで、バランスをとるのがとっても難しく作り手のセンスが光ります。当店では''一品もの''という観点で商品ページでお好きなものをお選びいただけるようにしております。どれもが思わずうっとりするほどすばらしいので、ぜひお気に入りを見つけてみてくださいね!
「うつわから詩を感じてくれるようなものを作れたらと思っています。あとは道具として使いやすさも大事にしています。」と加賀美さん。
焼き物を見ているのですが、映画や本を読んでいるようなそんな心の琴線にふれる情緒的なうつわたち。日常の暮らしの中で、食卓が引き立ち特別な時間を過ごせそうです。
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