墨入り貫入シリーズや何とも言えない色合いの飴釉、ほっこりかわいらしい絵付けのうつわなど、個性が光るお品を作陶されている「はなクラフト」さん。当店でも新しく取り扱いさせていただくことになりました!
先日、茨城県の鉾田市にある工房にお邪魔させていただき、いろいろとお話をお伺いさせていただきました。
「はなクラフト」はともに東京出身の旦那様の原 孝一さん、奥様の中村 佐和子さんのご夫婦で営われている工房です。主に陶器の作成は孝一さん、佐和子さんは磁器の作成と絵付けを担当されています。
若い頃、東京の知る人ぞ知る通好みのレコード屋さんの仕事場で出会ったお二人。特に旦那様の孝一さんはパンク好きで、今でも工房にはザ・フーやセックスピストルズの写真が貼ってあり、洋楽好きのしきおり店主(夫)が大学生の頃と時期的にも重ねっていたため、その頃(約20数年前?!)にお会いしていたかもしれないことが発覚..!音楽の話でひとしきり盛り上がってしまいました。
奥様の佐和子さんは、やさしさとあたたかさが全身から溢れ出ているようなステキな女性。小さなころからモノを作ることが好きだった佐和子さんは、陶芸に興味を持ち、瀬戸市の窯業訓練校で学ぶことを決めます。そして孝一さんも、「まあ、面白いかな」という軽い気持ちでレコード店を離れ、一緒に学ぶことに。まさかその時は一生の仕事になるとは本当に思ってなかったというのだから人生何が起こるかわかりません。
その後、それぞれ美濃の陶芸家 黒岩卓実氏に師事。美濃の窯元にて絵付け担当で勤務。それと並行して「はなクラフト」を立ち上げます。2005年には海からほど近い今の場所に工房を持つことに。東京出身で地元にコネもないお二人が工房に適した場所を見つけるのは、当時は大変だったようです。
「偶然にも陶芸をやっていた方の物件をそのまま使えることになり、ラッキーでした。」と佐和子さん。いろいろな偶然や出会いが重なり今があるとおっしゃっていました。
孝一さんの作る器やカップは、陶器にもかかわらず実際に持つと軽く薄手で驚きます。女性が持つにはほどよい重さです。そして、花弁の部分のしなやかさ。上品な墨入り貫入も魅力の一つになってます。
「もとは磁器をやっていたので、薄手に作っているのかもしれないですね。使い勝手とか耐久性とかを考えて少しづつ厚めに調整していったんです。」と孝一さん。
墨入り貫入は釉をかけて焼いた後、貫入があらわれるのをしばらく待ち、その後に墨を入れていきます。一度貫入に入りこんだ墨は洗っても落ちることはなく、逆に汚れの侵入を防いでくれるそうです。窯で焼いたときに、鉄分と反応してあらわれるほんのりとした赤みも個々に違いがあって味わいがあります。
飴釉は、まさに飴色の落ち着いた色合い。釉薬の光り具合がほどよく出ていて、お料理や食材が美しく映えます。中鉢の内側中央の美しいグラデーションは刷毛でなぞったようで見惚れてしまいます。こちらは、リム部分の削りから流れ出た釉薬が窯で焼いたことにより自然に流れた跡なのだそう。思わず引き込まれてしまう麗しさです。
今回は、普段陶器市にしか出していないミニ高台も特別に扱わせていただきました。
佐和子さんは、磁器の器に絵付けがかわいらしいお品を多く作陶されています。
やさしげな絵付けのマトリョーシカ皿。
ほっこりやさしい表情に癒されます。
こちらはおねむ顔
ほんわりとした佐和子さんのお人柄がそのまま出ているような絵付け。
一つ一つ手描きでふたつと同じものがないのが魅力です。
これからもお二方の素敵な作品を楽しみにしております!
この度はお忙しいところお邪魔させていただきましてありがとうございました。
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