「掻き落とし」という技法でうつわを作成されている吉村尚子さんの工房にお邪魔させていただきました。
吉村さんの工房は三重県伊賀市のゆったりとした田園風景の中にあります。約100年近く経った古民家をリフォームした工房とご自宅は、同じく陶芸家であるご主人の光紀さんと一緒に改築され、2020年の7月にお引越しされたばかりだそうです。
工房へのアプローチ テンションが上がります!
日本家屋の間取りを上手に利用した素敵な工房。広い窓から明るい陽射しが差し込みむので、部屋の中でも自然を感じられる落ち着いた空間です。
こちらは床の間だった場所
以前住んでたご家族の身長記録の跡もそのままに。吉村さんの古民家への愛情が伝わりほっこりします。
焼き物の産地、伊賀の出身ということで周りが普通に焼き物を作っているような環境だったこともあり、小さな頃からどこかの企業で働いているイメージが湧かなかったそうです。自分で作ったものを販売し生活することに違和感がなく、大阪芸術大学でも陶芸を先行され自然と作り手の道に進まれました。物心ついた時からモノを作ることが本当に好きで、それが当たり前のように変わることなく、ずっと創作を楽しみ続けている方だと、お話からとてもよくわかりました。
「搔き落とし」は藍色に発色する土を塗り、針のような道具で引っ搔いて描く技法です。吉村さんはこの技法で独自の世界を描いてます。
「鳥獣戯画や日本昔話のような雰囲気を表現したいなと思っています。」と柔らかな笑顔でおっしゃる吉村さん。確かに、小さな頃にテレビで見た「日本昔話」のような空気感を醸し出しています。描く動物は表情や動作にもこだわりをもって描かれていて、一つ一つの白黒の切り絵のような絵柄をゆっくり眺めると、うつわの中に物語を想像させるような楽しさがあります。
信楽の磁器土を利用し、素地は真っ白ではないクリーム色。表面に化粧土などはかけておらず、焼き方で素地の色を少しあたたかみのあるような乳白色に調整しています。濃いめの呉須色の絵付けが特徴的です。作品は半磁器。陶器に比べて若干強度のある食器なので毎日の食卓にも気兼ねなく使えます。
ホームパーティーやハレの日にも華やぎそうで素敵ですね!
工房には12月初旬にお邪魔したので、薪ストーブも大活躍中でした。お二人の和やかな雰囲気がそのまま表れたようなやさしくあたたかみのある工房でした。
旦那様の光紀さんとは、「工房 naomitu pottery」としてもご一緒に活動されています。工房の隣にある古民家のご自宅にもお邪魔させていただきましたが、壊される予定のお家から譲り受けた古い扉をおしゃれにリフォームなさったりなど、随所に吉村さんとご主人のセンスが感じられました。そしてどこもとても居心地が良い。勝手ながら「こんなお家に住みたい!」と思うような、ほっこり落ち着く空間でした。(お忙しいところ長居してしまい失礼いたしました!)
この度オーダーしていたお品が入荷してます!新しい仲間も増えてますので、是非ご覧になってくださいませ。
吉村尚子さんのうつわはこちら