【焼き物産地散策】波佐見町のおすすめのお店&場所(長崎県波佐見町)

波佐見焼(はさみやき)はお洒落でカジュアルな種類も多い食器ということで昨今大変人気のやきもの。店主が実際に産地に出向き見聞きした情報をご紹介いたします!

波佐見焼のふるさと長崎県波佐見町は、長閑な風景が広がる美しい町。波佐見焼の窯元のショールームやお洒落なお店、カフェなどが点在しています。 地元の波佐見温泉や佐賀県の武雄温泉、嬉野温泉、また、有田焼のある佐賀県有田町へも車で約30分弱程度で移動できる距離なので、近隣の観光地と一緒に回ってみるのもお勧めです!


波佐見焼とは?

波佐見焼の歴史は安土桃山時代末期頃、今から約400年前に遡ります。今でこそ波佐見焼=白磁の代表格の印象ですが、陶石が発見されるまで、土もの(陶器)の生産を行っていた地でもありました。波佐見焼のこれまではだいたい5つの時代に分けられると言われています。

〇 1580年~1610年代 陶器生産の時代
〇 1610年~1630年代 磁器生産の開始
〇 1630年~1650年代 青磁を中心とした生産

〇 1650年~1690年代 海外輸出が盛んな時代
〇 1690年~1860年代 くわらんかの時代 日本の一般家庭向け販売開始


陶石が発見されたことで、磁器の生産が始まる

豊臣秀吉による朝鮮出兵(文禄・慶長の役 1592年~1598年)に大名たちは焼き物の技術を得るため、多くの朝鮮人陶工を連れ帰りました。
李祐慶(りゆうけい)は、慶長3年(1598年)の大村藩主喜前公が朝鮮の役から帰国する際この地に招かれます。慶長4年(1599年)には波佐見町村木郷畑ノ原に朝鮮式連房登窯を築き、慶長10年(1605年)に三股山咽口(砥石川)に良質の陶石を発見し磁器の生産を開始します。

磁器の原料である「陶石」は火山性の岩石。約2000万年前の火山の噴火によりできたと考えられています。陶石の発見で、江戸時代には磁器生産が大きく発展。当初は波佐見町の三股・中尾・長尾地区一帯で採掘されましたが、明治以降では天草陶石(熊本県)が原料の中心となり、現在も使用されています。


日本の焼き物が海外へ

1650年代頃には、中国の内乱の影響で中国の焼き物の海外進出が滞るようになり、代わって日本の焼き物が世界に輸出されるようになります。肥前(九州北西部)は、焼き物をするにはなくてはならない条件の'' 陶石、燃料(山)、水(川)''が揃っていました。大村藩は三股に皿山役所を設置。波佐見町にも多くの窯が築かれ、海外用の大きな染付鉢や青磁皿を生産し多くは東南アジア方面に流通されました。


そして、くわらんか時代へ。日本の庶民の食卓が豊かに

当時磁器は、高価なものだったことから、庶民には手に入りにくい器でしたが、江戸時代には「くわらんか椀」と呼ばれ、丈夫で割れにくく手ごろな価格の波佐見焼は日本の一般家庭にも広がっていきます。


''波佐見焼''としての新しい始まり

波佐見町で作られるうつわは、同じ生産圏であった''有田焼''や''伊万里焼''として長いこと流通されていました。ところが、色々な社会変化の中で産地偽装が騒がれ始め、つい数十年前から、あらためて波佐見焼として世に出ることとなります。

今まであったやり方を変え、一から始めなくてはならなかったことを考えると、色々なご苦労があったことでしょう。しかし、
町全体が専門家集団の分業(型屋、生地屋、窯元など)で成り立っている為、ある意味運命共同体。チーム一丸となって波佐見焼を売り出そうという一体感もあったのだと思います。本来全国の焼き物産地の中で切磋琢磨してきた備前の地。品質基準が高い地域ということもあり、波佐見焼の高いブランド力は認知されています。

波佐見町の窯元の方とお話していると、他の窯の受注の状況も知っていて「あそこの仕事は波佐見焼の産地として絶対落とせないものだから、なんとしても力になって守っていかなくちゃいけない。」というようなニュアンスの話もお聞きすることがあります。

今では''波佐見焼''といえば、高品質で伝統にとらわれないお洒落で斬新なデザインの食器というイメージが定着していったのも、外からくる人たちを受け入れ、皆の意見や知恵を出し合える、そういう風通しのよい風土故と感じます。


波佐見町への行き方

HASAMI PARK

飛行機の場合✈:
長崎空港から車で約1時間。

車の場合:
長崎自動車道・西九州自動車道
波佐見・有田ICから車で約5分
嬉野ICから車で約10分

電車・バスの場合:
JR有田駅から車で約10分
JR三河内駅からバスで約15分(バス停 三河内駅前「嬉野」「内海」行)
JR川棚駅からバスで20分 (バス停 川棚バスセンター「嬉野」「内海」行)

※最寄り駅からは微妙に距離があるので、町内を効率よく回るには車での移動をお勧めします。



波佐見町の見どころをまとめてみました

さまざまなお店のショールームやお洒落なカフェやレストラン、雑貨屋さんなども点在している波佐見町。また、大自然の美しさも魅力の一つでもあります。
店主のおススメの場所をまとめました。

波佐見町の桜づつみ


くわらん館・観光交流センター・やきもの公園
〒859-3711 長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2255-2
営業時間:9:00-17:00  定休日:12/31・1/1・1/2
波佐見町観光協会 電話:0956-85-2290

波佐見町くわらん館

30以上の色々な窯元の商品が集まっているので、効率よく商品を見ることができます。観光交流センターには専門の案内スタッフがいるので、どこに行こうか迷っている際にも親切に相談に乗ってくれます。地図や色々な資料ももらえて、地元のならではのお役立ち情報もあり。旅の予定を立てるのに参考になるので是非押さえておきたい場所です!

2階は資料館になっていて、波佐見焼の歴史などが学べます。
うつわ店主の波佐見町散策

陶芸家さんがお出迎え。絵付けしている様子が結構リアルに動きます。
はじめに見た時はちょとびっくり!?

波佐見町資料館

くわらん館の前には「やきもの公園」があります。
世界各国の窯が展示された''世界窯広場''は窯の構造や歴史などをレプリカを見ながら知ることができます。

波佐見町のシンボル的なこちらはイギリス発祥の「ボトルオーブン窯」。

波佐見町「やきもの公園」

こちらはトルコの「キタヒヤの窯」

やきもの公園のレプリカの窯

山頂からの景色は最高!
ちょうど菜の花が満開で美しい黄色い絨毯のようでした。

波佐見町やきもの公園からの展望


►やきもの公園広場で行われるお祭り
※波佐見陶器まつり
毎年4月29日~5月5日のゴールデンウィークに約130の町内の窯元や商社が出展。本会場(やきもの公園広場)は多くの来場者で賑わう。ろくろ実演や上絵付け体験などのイベントも開催されます。

波佐見焼祭り

出典:波佐見陶器まつり協会

問い合わせ:電話:0956-85-2214 (波佐見焼振興会)



どこか懐かしい空間に現代アートとお洒落なお店 西の原
〒859-3716 長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2187-4

元製陶所の跡地に、スタイリッシュなカフェやギャラリー、雑貨屋が立ち並ぶ人気エリアです。

波佐見焼のふるさと西の原の散策

元窯元の跡地の名残りも。
波佐見町のおしゃれスポット 西の原

目的もなくゆっくりブラブラしながら、素敵なものを見て休憩。そんな何ともないひと時が贅沢なんだと気づかされます。素敵なお店を少しご紹介。


monne porte モンネポルト
営業時間:11:00-18:00  定休日:水・年末年始
電話:0956-76-7163

旧ロクロ場を利用して作られたお洒落な文房具や小物のお店。「表現する喜び」をコンセプトにさまざまなワークショップを開催するスペースもあり。


HANA わくすい
営業時間:11:00-18:00  定休日:水・年末年始

電話:0956-85-98-8155

日々の暮らしに小さなよろこびを届ける生活道具のお店。
全国から厳選されたずっと使える暮らしの道具たちが並んでいます。

西の原の花水さん

南創庫
営業時間:11:00-18:00  定休日:水・年末年始
電話:0956-76-7214

西海陶器の人気商品 essenceやcommon, HASAMI PORCELAINなどオリジナルブランドを中心に販売。機能性の高い見ていて楽しい波佐見焼が集まっています。

monne legui mooks モンネ・ルギ・ムック
営業時間:12:00-18:00  定休日:火・水・年末年始
電話:0956-85-8033

ノスタルジックな雰囲気漂う建物をお洒落にリノベしている素敵な空間。カレーセットなど日替わりランチや各種ドリンクやケーキなどもあります。ついつい長居してしまう素敵なカフェレストランです。


やきものの郷 中尾山地区で器散策


中尾山は、江戸時代中期に焼き物の生産が開始され、最盛期には160mを超える世界最大級の登窯群が築かれ、ここで作られた磁器が国内外に流通していきました。現在は約20軒の窯元や商社が集まり、細い路地やタイムスリップしたかのような雰囲気の街並みが残っています。直販している窯元さんのギャラリーや工房が点在しているので、お気に入りを探しにゆっくり散策などいかがでしょう。

波佐見町のやきものの里 中尾山散策

登り窯の中尾山を尋ねました

中尾山交流館
 〒859-3712 長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷157
営業時間:9:00-17:00  定休日:火・お盆・年末年始
電話:0956-85-2273

波佐見中尾山交流館の窯元の器

中尾山の約20の窯元の作品が並ぶギャラリーショップです。
どこに行こうかと計画を立てるのにまず押さえておきたい場所です。2階からは長閑な中尾郷が見渡せます。

波佐見中尾山交流館ギャラリー

交流館の向かいには「伝習館」があります。
一泊3,000円で宿泊でき、長期滞在しながら焼きものづくりができます。この日は見事な桜がお出迎えしてくれました。

中尾山伝習館の前の桜


中尾上登り窯跡
〒859-3712 長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷439
電話:0956-85-7355 (波佐見町教育委員会・文化財保護係)

長さ約160m、33の窯室を誇る世界第二位のを誇る巨大な登り窯跡。現在は復元工事中だそうですが、見学は可能。全容は下の町や道路からも見ることができます。少し離れた展望台からもその巨大さが分かります!

中尾上登窯跡に行ってみました


中尾山のおススメの窯元さんをご紹介します!

紀窯
〒859-3712 長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷665-1
営業時間:8:00-17:00 定休日:日・年末年始・(臨時休業あり。要確認)
電話:0956-85-3338

孔明窯と紀窯に行ってみました


英国の伝統食器であったスリップウエアは、
日本の民藝運動の創始者たちが良さを再発見し、新しい風が吹き込まれました。栃木県益子町で学ばれた中川紀夫さんが作るスリップウェアは、スタイリッシュで豊かな個性があります。和洋どちらも違和感なくしっくりくる風合いです。

紀窯


一真陶苑
〒859-3712 長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷670
営業時間:10:00-12:00/13:00-17:00  定休日:GW・お盆・年末年始(臨時休業あり。要確認)
電話:0956-85-5305

一眞窯のショップ訪問

真っ白な素地に繊細に施された''飛びカンナ’’や''しのぎ''は、大将と技術を伝承されたお弟子さんの2人でひとつひとつ作られているとのこと。見惚れてしまう美しさです。


►桜の季節に行われる中尾山のお祭り

※中尾山桜陶祭
毎年4月の第1土・日に開催。中尾山一帯で開かれ、窯元の一般公開や直販を実施。オリジナルの器で楽しめる数量限定のお弁当も人気。
電話:0956-85-2273 ( 中尾山交流館) 


自然豊かな波佐見町。美しい風景にも心和みます !

桜づつみロード
〒859-3716 長崎県東彼杵郡波佐見町田ノ頭郷

町内を流れる川棚川の川べりに作られた遊歩道に植樹された約300本の桜。
約5キロに渡って続く桜並木と長閑な風景が広がっています。


波佐見町桜づつみ

 
ちょうどお邪魔した時には桜が満開の時でした!桜色に彩られた桜色の世界にうっとり。

波佐見焼のふるさと


鬼木棚田
〒859-3713 長崎県東彼杵郡波佐見町鬼木郷

虚空蔵山(くうこうざん)の麓に広がる鬼木棚田は、日本の棚田百選にも選ばれています。中腹にある展望台からの眺めは四季を通じてさまざまな表情を見せてくれる棚田の美しさを楽しめます。

波佐見焼の産地

※鬼木棚田祭り
毎年9月23日に行われるイベント。地元の人が作ったユニークな案山子たちが棚田に設置され、農産加工品などの販売も行われます。
電話:0956-85-2290【波佐見町観光協会)



その他の窯元のショールームやお店


ÔYANE オーヤネ
〒859-3701 長崎県東彼杵郡波佐見町折敷瀬郷2204-4
営業時間:9:00-18:00   定休日:年末年始
電話:0956-85-3151

ショップ名のとおり白い大きな屋根がシンボルのお洒落なギャラリー。西海陶器が営むショップは、自社商品の他、波佐見焼の作家の器なども販売しています。


WAZAN OUTLET SHOP

〒859-3701 長崎県東彼杵郡波佐見町折敷瀬郷2200-1
営業時間:平日 10:00-17:00 定休日:年末年始
電話:0956-85-2471

和山アウトレットショップ波佐見町


毎日の食卓が楽しくなるような器づくりをされている和山のアウトレットショップ。末永く愛用できる品が割安で購入できます。


►和山の当店取り扱いはこちら



aiyu アイユー
〒859-3727 長崎県東彼杵郡波佐見町皿山郷380
営業時間:平日 10:00-17:00 土曜 12:00-17:00  定休日:日祝
電話:0956-85-2600

シンプルで飽きの来ないデザインのaiyuの商品は、どの年代にも使いやすいラインナップが揃っています。

白山陶器本社ショールーム

〒859-3702 長崎県東彼杵郡波佐見町湯無田郷1334
営業時間:9:00-16:00  定休日:定休日 毎週木曜日・毎月第2日曜日 GWほか夏季休業・年末年始/他不定休あり
電話:0956-85-3251


波佐見焼というと白山陶器のブルームを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。使いやすく生活になじむ飽きの来ないデザインを目指し、日本の食卓にも映えるシンプルだけど個性ある魅力的な器を生み出しています。グッドデザイン賞など数々の賞も受賞されているブランドです。


NISHIYAMA ギャラリー

〒859-3701 長崎県東彼杵郡波佐見町折敷瀬郷1087
営業時間:10:00-17:00 定休日:日・年末年始
電話:0956-85-3024

和をベースに常に新しいスタイルを模索し斬新な商品を作っているNISHIYAMAのギャラリーショップです。代表作のデイジーはもちろん、ほぼ全ラインナップを購入することが可能です。


翔芳窯

〒859-3701 長崎県東彼杵郡波佐見町折敷瀬郷761-8
営業時間:8:00-19:00   定休日:土・日・祝
電話:0956-85-4724 (要連絡)

イッチン技法など手描きにこだわった作品作りをされている窯元さん。購入はもちろん、工房がすぐ隣なので職人さんたちの手間暇をかけたモノ作りを見学することもできます。

翔芳窯に行きました


ほんの一部でしたが、波佐見町のスポットをご紹介いたしました。

この他にも素敵な窯元の直営店や歴史の跡など見どころが満載の町です。

是非機会がありましたら訪ねてみてくださいね!



波佐見焼 和山 こちら
波佐見焼 fruits シリーズ こちら

波佐見焼販売

 

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