イギリスで独自の発展を遂げた装飾が美しい ''スリップウェア’’を制作されている中川さん。長崎県波佐見町 中尾山の工房にお邪魔しお話を伺いました!

波佐見焼と陶郷 中尾山地区
長崎県波佐見町は品質の高さと使いやすさに加え、スタイリッシュな日常食器として昨今も人気があります。その歴史は古く約400年以上前からある焼き物です。江戸時代には磁器生産が大きく発展。原料である陶石は、波佐見町の三股・中尾・永尾地区一帯で採掘されました。
世界第二位の規模を誇る''中尾上登り窯跡''は、長さ約160m、33の窯室の巨大な登り窯跡です。離れたところからでも見ることができ、山肌に張り付くように作られたそのスケールの大きさに圧倒されてしまいます。
この大きな登り窯が、江戸時代の大量生産を可能にし、ここで作られた焼き物たちが世界各国に旅立っていきました。中尾山は窯元の煙突がところどころに立ちならび、どこか懐かしい雰囲気のする街並みが広がっています。ほとんどが個人や家族単位、少人数で生産をしている窯元で、作り手さんとお話して購入することが出来ます。地図を片手にブラブラと散策するのもとても楽しい場所です!
中尾山桜陶(おうとう)祭 ’’と''秋陶めぐり''
年に二回、桜の季節に行われる''中尾山桜陶(おうとう)祭 ’’と''秋陶めぐり''は、窯元の見学や絵付け体験、限定の陶箱弁当なども用意されます。お祭りの時期に合わせていくのも違った面白さがありますよ!
中尾山桜陶(おうとう)祭 毎年4月第一土、日 (2日間)
秋陶めぐり 毎年10月下旬土、日 (2日間)
お問い合わせ:
陶郷中尾山交流館 電話 0956-85-2273

紀窯(中川紀夫)さんのスリップウェア
中川さんは陶の郷 中尾山で生まれ育ちました。お父様が孔明窯を営み、焼き物を作っていた姿を見ていた影響もあって、美術系の短大に進まれます。短大卒業後、栃木県益子の大誠窯にて約8年間修行。2009年に地元に戻り、''紀窯(きがま)''を築窯されます。


修業時代の窯元がモミやワラを焼いて釉薬を作っていたのこともあり、今でもなるべく自然にとれるものを使って作品を作っているそうです。
線を書く時には一気に!
「迷っているとあまり良い線はかけない感じがする」と中川さん。

ヨーロッパの民藝でもある''スリップウェア’’は、産業革命の大量生産の波に押され、一時期すたれてしまった焼き物でしたが、益子にも関係の深い濵田庄司やイギリス人 バーナード・リーチなどによってその価値が見直され、今でも若手から熟練の作り手がスリップウェアを制作しています。

作家さん個々それぞれに個性は感じられますが、中川さんのスリップウェアは、線一本一本に躍動感があり、イギリスのオールドスタイルに近い雰囲気を感じることが出来ます。

すこしずっしりとした重みと心地よい土の重厚感。奇抜な模様が浮き立ってしまうのではと思いますが、洋食はもとより和のテーブルにも驚くほどしっくりときます。


硬く丈夫に作ってありますのでオーブンもOKです。グラタンやグリル料理もグッと映えそうですね!


手作りの良さを残し、お料理盛った時に完成するようなうつわを目指して日々作陶されています。
(中川さん、お忙しいところお邪魔させていただきありがとうございます!これからも素敵な作品楽しみにしてます。)
中川紀夫(紀窯)さんの取り扱い作品はこちら